暗闇に運命の戸を叩く
- 2019/05/14
- 22:22
市の広報をめくると、市内の医療機関の一覧が載っていました。
その文字の羅列をただボンヤリと眺めていただけなのに、
いつの間にか私の脳は闇へと落ちてしまいました。
掛かり付け医で血液検査をした時に、血糖値が高かった母。
普段から高かったけれど、それまでは何とか基準値内におさまっていたのに、
65歳くらいから、基準値を超えるようになりました。
専門医を紹介されて、通い始めました。
医師の言う通り、米を減らし、おやつの菓子パンを止めました。
少し下がったと思っても、また翌月には上がりました。
米に麦やこんにゃくを混ぜました。
「体にいいから。」
と大嫌いなヨーグルトを朝食に食べるようになりました。
月に1度の血液検査の結果に一喜一憂する母。
「また血糖値上がった、、、饅頭もパンも食べてないのに、、、本当は食べているんだろうって疑われた。」
母はとても落ち込んでいました。
その頃、私の友人から母の通っている病院の悪い噂を聞きました。
その友人は、介護福祉士です。
「あの病院、良くないから止めた方がいいと思う。私がお世話してる人が医療過誤で訴えたんだよ。他からも色々聞くしね。」
すぐにその話を母に伝えました。
「何年も通ってるのに、血糖値下がらないじゃん。病院変えなよ。甘いものなんてほとんど食べてないのに。」
「でも、どうせどこに行っても一緒だし。」
「そんなことないよ。調べたらね、○○病院がいいって。行ってみなよ。」
「他の病院行ったってバレたら先生怒るもん。」
「バレないよ。もう2度と行かなきゃいいんだから。もし、新しい病院が合わなかったら、何も言わずにまた行けばいいし。バレようがないから。」
「うーん、いい。面倒くさいし。」
ここが運命の分かれ道でした。
この時、病院を変えていれば、きっと全てが違ったと思うのです。
痩せた母の高すぎる血糖値の異常。
薬を飲んでも全く下がらない。
専門医であれば、すい臓だと分かるはずです。
結局、そのヤブ医者だって、最後の最後は、
「すい臓かもしれない。CT撮ってきて。」
と大きい病院に回したのですから。
通院していた最後の数ヶ月の血糖値、異常に高いのです。
とっくにインシュリンが必要な数値なのです。
どうしてこの時に、この医師は何も思わなかったんだろう。
どうして数ヶ月放置したのだろう。
あなたは専門医ではないのですか。
どうして痩せている母の間食を疑ったのですか。
何年も専門医に掛かっていたなんて、
本当だったら、早期にすい臓がんを発見することができた、
稀なケースだったかもしれないのに。
あぁ、違う。
あの時、あの時、どうして私は母の手を引いて、評判の良い病院へ無理矢理にでも連れて行かなかったのだろう。
そうすれば、今も母さんは生きていた。
再発はしたかもしれない。
きっと再発しただろう。
すい臓がんは甘くない。
でも、それでも、きっと、母の最後の望み、私との旅行くらいは叶えられたはずではないか。
どうして、私は、こんなにも慎重で悲観主義者なのに、
石橋を叩いて叩きまくるくせに、あんなに高い血糖値を簡単に見過ごしたのだろう。
毎月、母が差し出す血液検査の結果を、
どうして、どうして、私はちゃんと見なかったのだろう。
あの病院は、良くないって私は知っていたのに。
転院を1度断られたからって、その後何年も、365日、私は毎日一緒に過ごしたくせに。
何度だって転院を勧めることができたのに。
何度も言えばその気になってくれたかもしれないのに。
神様。
これが後悔ですか。
私の一生は、この後悔を供にするのですか。
母は戻らない。
時間も戻らない。
分かっているのに、後悔だけが私の思考回路を走り続けます。
時は進むのに、私だって知らず知らずに進んでいるのに、
心だけが後ろへ後ろへ戻ろうとしてしまいます。
帰りたい、帰りたい。
母の居た、あの季節へ。
疲れています。
今日はとてもダメな日。
おやすみなさい。
(*・ω・)b
まさこさん
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その文字の羅列をただボンヤリと眺めていただけなのに、
いつの間にか私の脳は闇へと落ちてしまいました。
掛かり付け医で血液検査をした時に、血糖値が高かった母。
普段から高かったけれど、それまでは何とか基準値内におさまっていたのに、
65歳くらいから、基準値を超えるようになりました。
専門医を紹介されて、通い始めました。
医師の言う通り、米を減らし、おやつの菓子パンを止めました。
少し下がったと思っても、また翌月には上がりました。
米に麦やこんにゃくを混ぜました。
「体にいいから。」
と大嫌いなヨーグルトを朝食に食べるようになりました。
月に1度の血液検査の結果に一喜一憂する母。
「また血糖値上がった、、、饅頭もパンも食べてないのに、、、本当は食べているんだろうって疑われた。」
母はとても落ち込んでいました。
その頃、私の友人から母の通っている病院の悪い噂を聞きました。
その友人は、介護福祉士です。
「あの病院、良くないから止めた方がいいと思う。私がお世話してる人が医療過誤で訴えたんだよ。他からも色々聞くしね。」
すぐにその話を母に伝えました。
「何年も通ってるのに、血糖値下がらないじゃん。病院変えなよ。甘いものなんてほとんど食べてないのに。」
「でも、どうせどこに行っても一緒だし。」
「そんなことないよ。調べたらね、○○病院がいいって。行ってみなよ。」
「他の病院行ったってバレたら先生怒るもん。」
「バレないよ。もう2度と行かなきゃいいんだから。もし、新しい病院が合わなかったら、何も言わずにまた行けばいいし。バレようがないから。」
「うーん、いい。面倒くさいし。」
ここが運命の分かれ道でした。
この時、病院を変えていれば、きっと全てが違ったと思うのです。
痩せた母の高すぎる血糖値の異常。
薬を飲んでも全く下がらない。
専門医であれば、すい臓だと分かるはずです。
結局、そのヤブ医者だって、最後の最後は、
「すい臓かもしれない。CT撮ってきて。」
と大きい病院に回したのですから。
通院していた最後の数ヶ月の血糖値、異常に高いのです。
とっくにインシュリンが必要な数値なのです。
どうしてこの時に、この医師は何も思わなかったんだろう。
どうして数ヶ月放置したのだろう。
あなたは専門医ではないのですか。
どうして痩せている母の間食を疑ったのですか。
何年も専門医に掛かっていたなんて、
本当だったら、早期にすい臓がんを発見することができた、
稀なケースだったかもしれないのに。
あぁ、違う。
あの時、あの時、どうして私は母の手を引いて、評判の良い病院へ無理矢理にでも連れて行かなかったのだろう。
そうすれば、今も母さんは生きていた。
再発はしたかもしれない。
きっと再発しただろう。
すい臓がんは甘くない。
でも、それでも、きっと、母の最後の望み、私との旅行くらいは叶えられたはずではないか。
どうして、私は、こんなにも慎重で悲観主義者なのに、
石橋を叩いて叩きまくるくせに、あんなに高い血糖値を簡単に見過ごしたのだろう。
毎月、母が差し出す血液検査の結果を、
どうして、どうして、私はちゃんと見なかったのだろう。
あの病院は、良くないって私は知っていたのに。
転院を1度断られたからって、その後何年も、365日、私は毎日一緒に過ごしたくせに。
何度だって転院を勧めることができたのに。
何度も言えばその気になってくれたかもしれないのに。
神様。
これが後悔ですか。
私の一生は、この後悔を供にするのですか。
母は戻らない。
時間も戻らない。
分かっているのに、後悔だけが私の思考回路を走り続けます。
時は進むのに、私だって知らず知らずに進んでいるのに、
心だけが後ろへ後ろへ戻ろうとしてしまいます。
帰りたい、帰りたい。
母の居た、あの季節へ。
疲れています。
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おやすみなさい。
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