夢なかるべからず

2019/05/12
22:22

休憩室で、皆が口々に英語で同じ言葉を言い合っていました。
聞き取れなかった私は「ん？何？」と尋ねました。

「ハッピーマザーズディ！今日母の日よ。」
ユミちゃんが教えてくれました。

「あっ、、、」
小さく声が出て、その後は目線を下に向けて話題が変わるのを待ちました。

スーパーやコンビニにはポスターが貼ってあるし、
ネットには広告がたくさん出ているから、母の日が近いことは分かっていたのに、
今日だ、ということを忘れていました。

「私には祝う相手も祝ってくれる人もいない。」悲しく思ったけれど、
「仕方ない。仕方ない。これが私の人生だから。」
うつむいたまま、自分に言い聞かせました。

うどんを食べに行ったり、饅頭やケーキを渡したり。
私の母の日は思い出の中に。

もっともっと一緒に居たかったよ、母さん。

千代ちゃん、私の代わりに母さんを喜ばせてあげて。
二人で楽しく仲良くね。

モモと散歩へ。
田植えの済んだ田んぼに白さぎが１羽、エサを探して歩いていました。

「モモちゃん、母の日だって。いつもお散歩ありがとう、とか言ってくれない？」
「はぁ？」
「だよねー。」

山の向こうに夕陽が落ちて、影になった田んぼの中道をゆっくり歩きました。

いいことなんて何もない。
つまんない。

今夜、母親に電話する人たくさんいるんだろうな。
私もそんな風に出来たらいいのに。

遠くに我が家の畑。

あぁ、夢を描こう。
あの山に、あの栗の木の下に、小さな小屋を建てて、ジャムとか売ろうかな。
母さんが得意だったジャム。

私が好きだったのは、イチゴジャム、それからイチジクのジャム。
あぁ、もう一度食べたいな。

「煮詰め過ぎないでよ！実がゴロゴロしてるのがいいの。絶対よ！」
「はいはい。」

家中に広がる甘酸っぱい香り。
母さん。

搾りたてのジュースもいいな。
あの山でいつか必ず暮らそう。
ささやかな、私だけの夢。

帰って神前へ。
「母さん。今夜夢で会えないかな。今ね、心の病だから、ちょっと優しさが欲しいんだよね。夢でいい。夢でいいんだから。ありがとうって言いたいんだよ。」

ちょっとセンチメンタルになったけど、
モモも私も元気に散歩できたから、今日は○。

おやすみなさい。

(*･ω･)b
NECOさん、ララ子さん、ゆきんこさん

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