数珠つなぎ

2019/03/11
22:22

仕事でした。

帰って散歩。
この２日、どしゃ降りでまともに散歩できていなかったモモはとても嬉しそう。
草に鼻を突っ込んで、しつこくしつこく縄張りの確認作業。

「今夜は何食べようかな。」
電信柱を嗅ぐモモを見つめながら、夕飯のことを考えました。

レトルトのスープカレーにしようかな、
それともハヤシライス。
味噌汁飲みたいけど、作るの面倒くさいなぁ。

「あぁ、母さんのことじゃなく夕飯のこと考えてる。やっぱり時間なんだな、、、」

来た道を振り返り、雨上がりの田んぼ。
見上げれば緑の濃くなった山々。
その山へと続く真っ直ぐに伸びるいつもと変わらぬ散歩道。

「母さんはもう、どこにもいないけど、私が代わりにここにいる。」

生まれて死んで、断たれたその道をまた誰かが歩む。
父さんと母さんの歩いた道の続きは私が。

「私の続きはいないけど。ごめんね。」

「１人でいいから子供を産んでほしい。」
母は時折そう言ったけれど、母の望みを叶えてあげることはできませんでした。

「子供ってね、本当にかわいいのよ。あんな子供でも、、、」
最期まで母を苦しめた兄に苦悩しながらも、母はそう言いました。

「分かるよ。当たり前だよ。」

もう立ち上がれない、介護ベッドに横たわることしかできない母に、私はそれだけを言うのが精一杯でした。

もっと気の効いたことを言いたかったけれど、
子供のいない私には、本当には母の言葉を理解することなどできず、
せめて肯定してあげたい、それだけでした。

道を右に曲がって山を背に家へ。

ゆるやかな坂をモモと歩いていると、
１人のおばあさんが「ワンちゃんかわいいわね。」と話しかけてきました。

「はい。ありがとうございます。」
私と並んでゆっくり歩くおばあさん。
会話を続けたいようでしたが、後ろから車から迫って来ました。

「車が来ますからお先にどうぞ。」
おばあさんを先に行かせて、坂を上る姿を後ろからずっと見つめました。

「母さん、今日も無事に終わったよ。あのおばあさん、一人暮らしかな。母さん、私と暮らして幸せだったのかな。」

家に到着。
「モモちゃん、明日は休みよ。今夜は嬉しい夜だね。」

今日の散歩は、様々に思考が飛んで、
でも、やっぱり最後は母とモモ。
平常運転。
春まで頑張ろう。

夕飯
スープカレー(レトルト)
玉子焼き
味噌汁なし

おやすみなさい。

(*･ω･)b
H.Aさん

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