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渇望

母の人生に暗い影を落としているのは、実の母を知らないことです。
実母は母が1歳になる前に他界し、数年後祖父は母を連れて再婚しました。
祖母は4人の子供産んだので、母は5人兄弟の長女になります。
祖母は自分の子供が可愛く、母のことはベビーシッターのように扱ったようです。
母だけが弁当を作ってもらえず、不憫に思った近所のパン屋さんからこっそりパンをわけてもらったりしたそうです。
パンがもらえない時は昼飯がなく、友達にお腹が空いていないとウソをつくのが嫌で嫌で仕方なかったと母は言います。

勉強の好きだった母は高校に行かせてほしい、と頼んだのに、
「女に学は必要ない。手に職をつけろ。」と行かせてもらえませんでした。
決して貧乏だったわけではなく、下の4人は高校に行っています。
父母への恨み、兄弟へのひがみ、それは相当なものだったでしょう。
高校を出ていないことを母は今も恥に思っています。「行ける頭はあったのよ。」が母の口癖です。

16歳で家出。
その後、父と結婚しました。
そこからも順風満帆とはいかず、
「どうせ、私なんて、、、」と人生を悲観することに拍車がかかったように思います。

私は高校生の時に初めて祖父母に会いました。
その頃まで母は実家には帰りませんでした。
優しい人たちで、母が幼い日に受けた仕打ちとは結びつきませんでしたが、
それは月日が彼らを穏やかにしたのでしょう。
すでに高校生でしたので、私が祖父母に懐くことはありませんでしたが、
毎年正月には時間さえ合えば母と帰省するようになりました。
母は会っている時は楽しそうに話しているのに、
帰り道はいつも、
「妹にはこのまえ車買うお金だしてあげたんだって。弟には家の頭金。私には何もしてくれない。」
などと恨めしそうに愚痴をこぼしました。
ずっとずっと愛を求めているんだなぁ、と思ったものです。

母親の愛情を知らない、というのは本当に不幸なことです。
でも、どうしようもないことですから、人を羨むことよりも、早く自分の幸せの形を見つけることの方が色んなことから解放されたのに、と子供の立場では思います。
人を妬むのもエネルギーがいることですから、、、
そんなものに人生を費やすのはバカげている、と何度か言ったことがありますが、母には分かってもらえませんでした。

母には、孫がいます。頻繁に会いに来てくれます。最近、ひ孫を抱くこともできました。
母が幸せな家庭に憧れ、結婚が早かったからこそできたことなので、継母に育てられたことも悪い結果ばかりではなかったわけです。
私からすれば現在は充分に幸せな人生だと思うのですが、母はいつもいつも満たされていません。
その原因は私ではなく、他にあるのですが、その話はまたの機会に。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。おやすみなさい。

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