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父の葬式3

要は、この家に着いたら、何も考えず、何も面倒なことはせずに通夜と葬儀を終えたいのです。
出来るだけ動きたくない。
動くのなら、全部、面倒みてほしい。

普段であれば、我が家が全てやるのです。

例えば10年前、父の姉の旦那さんが亡くなった時のこと。
私の伯父さんにあたる人です。
伯父さん家族は我が家から車で10分くらいのところに住んでいます。

まず全員、とりあえず我が家に来ます。
お茶を飲んで、しゃべって気がすんだら、私が車で伯父さんの家まで全員を送ります。
通夜が済んだら、我が家まで全員連れて帰ります。
我が家で夜食を食べます。
我が家で寝ます。
我が家で朝食を食べて、伯父さんの家まで送ります。
式が済んだら、火葬場まで送ります。
火葬場から、我が家まで連れて帰ります。
夕食と酒を与えて、しゃべり疲れたらやっと解散してくれるのです。

いつもいつもこのパターンでした。
レストラン代わり。
ホテル代わり。
タクシー代わり。

ところが、この時は、私達が当事者なので、こんな細かいことができなかったのです。
不満爆発。

大人なんだから、自分でどうにかして下さい。
ここで生まれ育ったのですから、地の利もあるでしょう。
私達は、今日は何もできない、、、

骨を拾い終わったら、我が家へ全員集合して宴会が始まりました。
いつものパターンです。
私はこれが幼い時から大嫌いでした。

皆、酒に飲まれ、誰かが血祭りにあげられ、誰かが泣くまで終わらないのです。

この日はもちろん母です。
「本家の嫁としてなっていない。」
「通夜に嫁がいないなんて聞いたことがない。」
「せっかく来たのに、放ったらかしにされた。」
「母がきちんとしていないから、父は亡くなったんじゃないのか。」

母は、こうなることを承知の上で通夜にいなかったのですから、全く動じませんでした。

「本家、本家って、兄弟もどんどん欠けていって、もう何の意味もないでしょ。」

「もうね、私は酒飲みの相手ができる年じゃないの。飲みたい人で飲んだんだから良かったじゃない。」

「いつもと違うんだから、何もできないわよ。文句があるなら、息子に言って。本家の長男なんだから。」

「止めても飲み続けたのはあの人なんだから、どうしようもないわよ。そんなに言うなら止めてくれれば良かったじゃない。いつも一緒に飲んでたでしょう。」

泣いて終止符を打ったのは私でした。
「なんで、、、父さん亡くなって、辛いのに、なんでこんな言い争いになるの。父さん、今まで、みんなの世話してきたよね?気に入らないことはあるだろうけど、今日くらいは悲しんであげてほしい。」

みんなの熱がスーと冷めてお開きとなりました。

その後も義理の付き合いは続きましたが、父が亡くなったことで、我が家に大人数が集まることはなくなりました。

長年の嫁としての役割から解放されて、母は自由になりました。
私と犬との生活。
それが父の死後7年。
苦労ばかりの70年のうちの7年。

もう少し長く、自由を楽しむ時間を与えてあげられていれば。
せめて、父の年齢を超えてほしかったです。
残念です。

おやすみなさい

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