明暗
- 2018/01/26
- 23:59
仕事から帰ったら玄関の戸に、花キューピットの伝票が挟んでありました。
たぶん、寒中見舞いを出した人からのものだろうと思いました。
届けてくれる花屋は、母が65歳まで30年以上働いた店でした。
電話をかけたら、すぐに持って来てくれました。
「お世話になります。ありがとうございます。」
と私は挨拶しました。
「お母さん、何歳だった?」
そのおじさんはニヤニヤ笑っています。
「70です。」
「なら、まぁねぇ。」
は?何が?
って言うか誰?絶対、母の元同僚よね?お悔やみの言葉はなし?
大きなアレンジメントを受け取って玄関に置きました。
お悔やみを申し上げます。と母の同級生の名前が記してありました。
「アナタは何歳になったの?あっ!聞いたらいけなかった?(笑)(笑)(笑)」
「別にいいですよ。40です。」
「じゃ、親子としてはそれなりだね。」
「・・・・・」
思い出した。西川さんだ。母から何度もこの人の話は聞いたことがある。
仲良くしてたはず。去年、野菜をあげたって言ってた。
なぜ、この人はずっとニヤニヤしてるの?
母の死を馬鹿にしているの?
頭のおかしい人なの?
「、、、サインいるんですよね?」
と伝票を促しました。
「じゃ、ありがとうございました。」
こんな人とこれ以上同じ空間にいるのは耐えられませんでした。
サインする間も死を悼む言葉は何一つありませんでした。
玄関の鍵を閉め、母に訴えました。
「ねぇ!母さん!あれ、何?失礼だよ。ひどいよ。あの人だってもうすぐ70だよね?アンタももうすぐだって言ってやりたかった。なんなの?
母さん、あんな人に親切にして。30年一緒に働いてアレだよ?悔しいよ。もう、嫌だよ。」
階段を掛け上がって自分の日記帳を広げました。
「母の死を笑われた。悔しい。悔しい。悔しい。悲しい。辛い。ひどい。」
書きなぐりました。
そして、とてもここには書けない罵詈雑言、言葉を連ねました。
気分が悪いです。
今すぐに記憶から消したいです。
もしかしたら、あの人は母のことが嫌いだったのかもしれない。
野菜だって母が無理矢理押し付けたのかもしれない。
でも、もう死んでしまったのです。
元同僚の子供に、嘘でも悲しそうな顔をするくらいのことできませんか?
母の死は、そんなニヤニヤ笑われるようなものではないはずです。
母は精一杯戦ったのです。
思い出まで汚されたような、この気持ちをどうすればいいですか?
悔しい。
もう一度、母の前へ。
「母さん。花はキレイだね。ほら。嬉しいね。田中さんだよ。明日、電話するからね。」
母からよく見えるように、床の間ではなく遺影の前に置きました。
おやすみなさい
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電話をかけたら、すぐに持って来てくれました。
「お世話になります。ありがとうございます。」
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「お母さん、何歳だった?」
そのおじさんはニヤニヤ笑っています。
「70です。」
「なら、まぁねぇ。」
は?何が?
って言うか誰?絶対、母の元同僚よね?お悔やみの言葉はなし?
大きなアレンジメントを受け取って玄関に置きました。
お悔やみを申し上げます。と母の同級生の名前が記してありました。
「アナタは何歳になったの?あっ!聞いたらいけなかった?(笑)(笑)(笑)」
「別にいいですよ。40です。」
「じゃ、親子としてはそれなりだね。」
「・・・・・」
思い出した。西川さんだ。母から何度もこの人の話は聞いたことがある。
仲良くしてたはず。去年、野菜をあげたって言ってた。
なぜ、この人はずっとニヤニヤしてるの?
母の死を馬鹿にしているの?
頭のおかしい人なの?
「、、、サインいるんですよね?」
と伝票を促しました。
「じゃ、ありがとうございました。」
こんな人とこれ以上同じ空間にいるのは耐えられませんでした。
サインする間も死を悼む言葉は何一つありませんでした。
玄関の鍵を閉め、母に訴えました。
「ねぇ!母さん!あれ、何?失礼だよ。ひどいよ。あの人だってもうすぐ70だよね?アンタももうすぐだって言ってやりたかった。なんなの?
母さん、あんな人に親切にして。30年一緒に働いてアレだよ?悔しいよ。もう、嫌だよ。」
階段を掛け上がって自分の日記帳を広げました。
「母の死を笑われた。悔しい。悔しい。悔しい。悲しい。辛い。ひどい。」
書きなぐりました。
そして、とてもここには書けない罵詈雑言、言葉を連ねました。
気分が悪いです。
今すぐに記憶から消したいです。
もしかしたら、あの人は母のことが嫌いだったのかもしれない。
野菜だって母が無理矢理押し付けたのかもしれない。
でも、もう死んでしまったのです。
元同僚の子供に、嘘でも悲しそうな顔をするくらいのことできませんか?
母の死は、そんなニヤニヤ笑われるようなものではないはずです。
母は精一杯戦ったのです。
思い出まで汚されたような、この気持ちをどうすればいいですか?
悔しい。
もう一度、母の前へ。
「母さん。花はキレイだね。ほら。嬉しいね。田中さんだよ。明日、電話するからね。」
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