約束

深夜３時に病院から電話。
「お母様の痛みがひどく、激しく暴れている状態です。痛み止めが効きません。すぐに来て下さい。」

ベッドの上の母は、痛い、苦しい、と激しく体を動かしていました。
「ごめんね。楽になろうね。すぐに楽にするから。大丈夫だから。」
「楽になりたい。」とうめきます。

「先生から話は聞いてます。鎮静剤を入れて下さい。」
「もう入れてます！座薬もインフェンも効かないんです！」看護士さんも興奮しています。
「兄弟にも了解をもらいました。眠らせて下さい。」
はっとした顔をして、「すぐに準備してきます。」

点滴が来るまでの間、足をマッサージしました。
「痛いね。ごめんね。眠れるからね。」

ポートに鎮静剤が入りました。
「今までありがとう。またお話しようね。」

鎮静剤までに入れた鎮痛剤の効果もあったのか、すぐに眠りにつきました。
吐く力のなくなった母の口の中は嘔吐物がたくさんありました。
窒息しなくて良かった。
看護士さんが口の中をキレイにしてくれました。

ずっと手を繋いで話しかけました。
もう何も返してくれないけど、それでもまだ生きている。
まだ生きてほしい、と思うのはエゴかな。
やっぱりもう少し一緒にいたいんだよね。

ずっと眠り続けました。
6時30分に帰宅。散歩と着替えをしてマクドナルドで朝食買って病室へ。
「朝マックだよー。久しぶりだわ。アイスティーにした。」
母の顔を見ながら食べました。

9時に外科の友人が夜勤明けにもかかわらず病室に来てくれました。
「夜中に入れたんだ。」
「そっか、、、血液の状態あまり良くないね。」
「そうなんだ。尿の色も悪いしね。」
「まだ少量の鎮静剤だから、目が覚めることもあるよ。」
「うん。苦しめてしまって可哀想なことした。」
「納得がいるからね。」
「それでもまだここから頑張ってほしい、とか思ってしまってエゴの固まりだよ。」

エレベーターに送る時に、芋を渡しました。
「重いんだけど、もらってね。ほら、母があげたいって言ってたでしょ。これが結局、母の作った最後の野菜になっちゃった。形は悪いけど、食べてね。ありがとうね。」
「また、お母さんにありがとうを言いに来るから！」

13時に孫二人とひ孫が見舞いに。
母の周りで楽しくワイワイ過ごしました。

16時に緩和専門の看護士さんと面談。
話すことは何もないのだけど、私の様子を見に来てくれました。

17時に一旦帰宅。散歩に行って、ご飯食べてシャワー浴びて病院へ。
今日から泊まります。
ワンコには可哀想だけど、少しだけ我慢してもらおうかなって。

苦しいです。さみしいし。
でも、まだ母の足をマッサージできるのが少しだけ嬉しい。
気持ちいいとは言ってくれないけど、絶対気持ちいいはずなんで！

おやすみなさい

(^o^)v

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