熱情と幻 11
- 2021/04/03
- 22:22
「ババ、サトルが会社に来た、、、離婚するって、、、」
「、、、絶対、許さないから。」
「、、、うん。」
このテーブルで家族のように食事をし、
ボロ雑巾のように娘を捨てた男。
2年間、苦しい季節を共にした。
母がサトルを許すわけがありませんでした。
屈託なく、電話をしてくるサトル。
「今日さ、すごいクセ毛のお客さん切ったんだよ。大変だったぁ!」
「そう、充実してるんだね、、、ねぇ、ギターは?」
「弾いてない。」
「美容師やめて、ギターやってよ。離婚するんでしょ?もう一度夢を追えばいいじゃない。」
「できるわけないだろ。」
「なんで?家族のためにギターやめたんでしょ。もう家族いないんだから、戻ればいい。」
「無理だ。」
「もう一度ギターやるなら、ヨリ戻してもいいよ。ね?」
「それは、できない。」
「私のお願いは、何にも聞いてくれないのね。」
2年間。
前に進んだサトル。
時が止まったままの私。
頻繁に鳴る電話。
「離婚が成立した。子供は諦めた。」
「そんなの私には関係ないから。」
「今日も疲れた!」
「初めから美容師になれば私達、今頃、結婚してたんだろうにね。」
「まるで、何もなかったみたいに電話してくるよね。私は絶対、忘れられないから。」
「他の女と結婚したんだよ?結婚だよ?信じられない。」
「あんなに冷たく捨てることができたんだから、好きだとか、私に対してないでしょ。ただ寂しいだけで。」
嫌味ばかり言ってしまう。
過去を変えることはできないのに、
あの日のことが忘れられない。
話しても会っても、楽しい時間を過ごすことはできませんでした。
「ねぇ、謝ってよ。土下座して。」
「、、、」
「冗談よ。言ってみただけ。」
「、、、オレ、彼女探そうと思う。」
「そう。」
「お前も見つけろ。」
「サトルに指図されることじゃないから。もう帰る。」
しばらく時間を置いても、
結局は、どちらからともなく連絡をしました。
「やっぱ、なかなか彼女見つからないわぁ!」
「サトルのワガママに付き合ってくれる人なんていないわよ。」
「ねねちゃんみたいにね!」
「やめて、そんな風に呼ぶの。」
「二人に会いたいなぁ。」
「無理。サトルと連絡取ってるなんて誰にも言えない。みんな苦しんだ私を知ってるから。」
「楽しかったよな。」
「、、、どうして戻って来たの?あのまま捨ててくれれば良かったのに。」
どんなに時間が経っても、
あの時のことにこだわってしまう。
もう一度、愛せたら。
私が、もう一度だけ、彼を許せばいい。
2年間にフタをして、やり直せば元に戻れる。
あんなに愛した人なのだから。
何度も、そうしようと思ったけれど、
私は、やはり彼を許すことはできませんでした。
明け方、こっそり玄関を開ける私を
夜通し、2年間、待ち続けてくれた母。
私を今も見守り、
毎日、夕飯を用意して待ってくれている母。
「サトルのお母さんは、サトルのことを愛してるでしょう?サトルが何度失敗しても、支えて、サトルの幸せを願ってる。私のお母さんも同じなのよ。私のことをきっと愛してる。愛してる娘に辛い思いをさせた男を許せると思う?本当にたくさん心配かけたのよ、2年間。私、ちゃんとお母さんを安心させてあげられる人を見つける。それはサトルじゃない。」
サトルへ戻りそうになる心に、
あの日の母の横顔がブレーキをかけました。
(*・ω・)
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「、、、絶対、許さないから。」
「、、、うん。」
このテーブルで家族のように食事をし、
ボロ雑巾のように娘を捨てた男。
2年間、苦しい季節を共にした。
母がサトルを許すわけがありませんでした。
屈託なく、電話をしてくるサトル。
「今日さ、すごいクセ毛のお客さん切ったんだよ。大変だったぁ!」
「そう、充実してるんだね、、、ねぇ、ギターは?」
「弾いてない。」
「美容師やめて、ギターやってよ。離婚するんでしょ?もう一度夢を追えばいいじゃない。」
「できるわけないだろ。」
「なんで?家族のためにギターやめたんでしょ。もう家族いないんだから、戻ればいい。」
「無理だ。」
「もう一度ギターやるなら、ヨリ戻してもいいよ。ね?」
「それは、できない。」
「私のお願いは、何にも聞いてくれないのね。」
2年間。
前に進んだサトル。
時が止まったままの私。
頻繁に鳴る電話。
「離婚が成立した。子供は諦めた。」
「そんなの私には関係ないから。」
「今日も疲れた!」
「初めから美容師になれば私達、今頃、結婚してたんだろうにね。」
「まるで、何もなかったみたいに電話してくるよね。私は絶対、忘れられないから。」
「他の女と結婚したんだよ?結婚だよ?信じられない。」
「あんなに冷たく捨てることができたんだから、好きだとか、私に対してないでしょ。ただ寂しいだけで。」
嫌味ばかり言ってしまう。
過去を変えることはできないのに、
あの日のことが忘れられない。
話しても会っても、楽しい時間を過ごすことはできませんでした。
「ねぇ、謝ってよ。土下座して。」
「、、、」
「冗談よ。言ってみただけ。」
「、、、オレ、彼女探そうと思う。」
「そう。」
「お前も見つけろ。」
「サトルに指図されることじゃないから。もう帰る。」
しばらく時間を置いても、
結局は、どちらからともなく連絡をしました。
「やっぱ、なかなか彼女見つからないわぁ!」
「サトルのワガママに付き合ってくれる人なんていないわよ。」
「ねねちゃんみたいにね!」
「やめて、そんな風に呼ぶの。」
「二人に会いたいなぁ。」
「無理。サトルと連絡取ってるなんて誰にも言えない。みんな苦しんだ私を知ってるから。」
「楽しかったよな。」
「、、、どうして戻って来たの?あのまま捨ててくれれば良かったのに。」
どんなに時間が経っても、
あの時のことにこだわってしまう。
もう一度、愛せたら。
私が、もう一度だけ、彼を許せばいい。
2年間にフタをして、やり直せば元に戻れる。
あんなに愛した人なのだから。
何度も、そうしようと思ったけれど、
私は、やはり彼を許すことはできませんでした。
明け方、こっそり玄関を開ける私を
夜通し、2年間、待ち続けてくれた母。
私を今も見守り、
毎日、夕飯を用意して待ってくれている母。
「サトルのお母さんは、サトルのことを愛してるでしょう?サトルが何度失敗しても、支えて、サトルの幸せを願ってる。私のお母さんも同じなのよ。私のことをきっと愛してる。愛してる娘に辛い思いをさせた男を許せると思う?本当にたくさん心配かけたのよ、2年間。私、ちゃんとお母さんを安心させてあげられる人を見つける。それはサトルじゃない。」
サトルへ戻りそうになる心に、
あの日の母の横顔がブレーキをかけました。
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