熱情と幻 6
- 2021/03/29
- 22:22
19の冬。
久しぶりに登校したら、
同級生からお茶に誘われました。
授業を抜け出して、喫茶店へ。
レモンティー。
ストローでレモンをもて遊ぶ。
「鹿田さん、あんまり学校来ないね。」
「3月でやめるから。」
「どうするの?」
「分かんないけど。彼氏次第。」
「彼氏って?」
「ギターリストになりたいって専門学校行ってる。」
「無理やろ。」
「うん。」
「別れてオレと付き合わない?」
「またまたー。冗談ばっかり。」
「気が変わったら連絡して。」
名刺を貰ったけれど、どこに行ったか、すぐに分からなくなりました。
バイト先の料亭で、修行していた料理人。
誘われるままに、彼の実家の寿司屋でアルバイトを始めました。
兵庫県川西まで、朝早く出て通っていました。
「大丈夫か?」
「うん、忙しい時だけでしょ。来るよ。」
「彼氏と上手くいっているのか?」
「分かんない。ケンカばっかり。」
「別れろよ。オレの嫁になればいい。」
「え?何言ってるんですかー!寿司屋のおかみさんなんて無理無理!」
バイト帰り、毎日のように十三へ。
「クラスメイトと、バイト先の人、二人に告白された。」
「で?何が言いたいの?自分がもてるって言いたいわけ?」
「違うよ、、、私が誰かに取られてもいいの?」
「お前がそうしたいならそうしろよ。」
泣きながら、梅田の駅をフラフラと、
指輪をなぞりながら。
「本気になったのは鹿子が初めてなんだ。指輪、大切にしてほしい。」
あの時の言葉は本当だったはずなのに。
ギターにのめり込むサトル。
部屋に通う私を疎ましく思うようになっていきました。
「オレ、明日テストだから。」
「側にいるだけ。」
「そうゆうの、鬱陶しい。」
「ねぇ、私ってサトルの何なの?」
「だから!そうゆうのが嫌なんだよ!」
「私、どうすればいい?」
「別れよう。」
「いや!」
「迎えに行くから。地元で待ってろ。」
「いや!」
「今、大事な時なんだよ。オレ、本気でギターやりたいんだ。頼むから1人にしてくれ。」
春。
右手に海を眺めながら、
私は地元へ向かう鈍行列車に、1人で揺られていました。
どうしてこんなことになったんだろう。
好きだと言う度に、サトルの気持ちが離れてゆく。
好きだけじゃダメなの?
ギターへの情熱を消すことなど、私には出来ず、
結局、別れを受け入れたのでした。
「愛しているんだ。だけど、鹿子といると、オレはダメになる。絶対、迎えに行くから。」
そんな、勝手な彼の言葉を信じるしかないほどに、
もはや私には、他に何もすがれるものはありませんでした。
(*・ω・)
まさこさん
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同級生からお茶に誘われました。
授業を抜け出して、喫茶店へ。
レモンティー。
ストローでレモンをもて遊ぶ。
「鹿田さん、あんまり学校来ないね。」
「3月でやめるから。」
「どうするの?」
「分かんないけど。彼氏次第。」
「彼氏って?」
「ギターリストになりたいって専門学校行ってる。」
「無理やろ。」
「うん。」
「別れてオレと付き合わない?」
「またまたー。冗談ばっかり。」
「気が変わったら連絡して。」
名刺を貰ったけれど、どこに行ったか、すぐに分からなくなりました。
バイト先の料亭で、修行していた料理人。
誘われるままに、彼の実家の寿司屋でアルバイトを始めました。
兵庫県川西まで、朝早く出て通っていました。
「大丈夫か?」
「うん、忙しい時だけでしょ。来るよ。」
「彼氏と上手くいっているのか?」
「分かんない。ケンカばっかり。」
「別れろよ。オレの嫁になればいい。」
「え?何言ってるんですかー!寿司屋のおかみさんなんて無理無理!」
バイト帰り、毎日のように十三へ。
「クラスメイトと、バイト先の人、二人に告白された。」
「で?何が言いたいの?自分がもてるって言いたいわけ?」
「違うよ、、、私が誰かに取られてもいいの?」
「お前がそうしたいならそうしろよ。」
泣きながら、梅田の駅をフラフラと、
指輪をなぞりながら。
「本気になったのは鹿子が初めてなんだ。指輪、大切にしてほしい。」
あの時の言葉は本当だったはずなのに。
ギターにのめり込むサトル。
部屋に通う私を疎ましく思うようになっていきました。
「オレ、明日テストだから。」
「側にいるだけ。」
「そうゆうの、鬱陶しい。」
「ねぇ、私ってサトルの何なの?」
「だから!そうゆうのが嫌なんだよ!」
「私、どうすればいい?」
「別れよう。」
「いや!」
「迎えに行くから。地元で待ってろ。」
「いや!」
「今、大事な時なんだよ。オレ、本気でギターやりたいんだ。頼むから1人にしてくれ。」
春。
右手に海を眺めながら、
私は地元へ向かう鈍行列車に、1人で揺られていました。
どうしてこんなことになったんだろう。
好きだと言う度に、サトルの気持ちが離れてゆく。
好きだけじゃダメなの?
ギターへの情熱を消すことなど、私には出来ず、
結局、別れを受け入れたのでした。
「愛しているんだ。だけど、鹿子といると、オレはダメになる。絶対、迎えに行くから。」
そんな、勝手な彼の言葉を信じるしかないほどに、
もはや私には、他に何もすがれるものはありませんでした。
(*・ω・)
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