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熱情と幻 5

桃山台から心斎橋の学校へ通う日々。

サトルがくれた、小さなサファイアの指輪。
春の光にかざして。

ゴールデンウィーク。
福岡へ。

退屈な大学生活。
彼は、パチンコにのめり込んでいました。

8時の開店と同時にパチンコ店に並ぶデート。

「アルバイトして、お金貯めて、福岡まで来てパチンコ、、、」
ぐずぐず泣く私。

「ゴメン、もう止める。鹿子を愛してるから。」

毎月、福岡へ。

パチンコを止めた彼は、ギターの虜になっていました。

「オレね、ずっと弾いてるんだ。」
「私はアルバイトばっかりしてる。」

江坂の料亭で着物着てお運びのバイトを長くやりました。

夏。

二人で地元へ帰省。

4人で歩く田んぼ道。

二人だけしかいない海。

「鹿子、結婚しよう、大学を卒業したら。」
「うん。」

秋。

次第に学校へ登校する回数が減っていきました。

「鹿子、今日も来ないの?」
「うん、バイト行く。」

「学校どうするの?」
「やめる。」

サトルのことが世界の中心でした。

遠退く夢への階段。

結婚するんだもの、学校なんて行っても仕方ない。
お金の無駄。

1年分の学費、寮費は払っているから、
大阪に春まで居て、それから地元に帰ろう。
サトルが卒業するまで、我慢。

冬。

「鹿子。オレ、大学やめるわ。」
「えっ?」

「ギターリストになる。」
「ギターリストって、、、」

「オレ、本気なんだ。」
「そんな、簡単になれるもんじゃないよ。」

「分かってる。」
「お母さんは?」

「怒られた。」
「当たり前よ。」

「春になったら大阪行く。」
「大阪?」

「専門学校行く。」
「私、学校やめるんだよ?」

「もう決めたから。」

狂い始めた歯車。

「お母さん。地元帰るつもりだったけど、もう1年大阪に住むことにする。1人暮らしする。」

寮を引き払い、上新庄のアパートへ引っ越し。

彼は本当に大学をやめて、福岡から十三へ。

遠距離恋愛が終わり、毎日会えるようになったのに、
次第にケンカが増えていきました。

「ねぇこの先どうするの?」
「ギターリストになる。」

「結婚は?」
「するよ。成功したら。」

「成功しなかったら?」
「オレのこと信じろよ。」

「信じられるわけないでしょ、ギターリストなんて、、、」
「オレ、練習したいから、もう帰ってくれ。」

再び巡る夏。
二人で地元へ。

ペンキ塗りを頼まれました。
彼のお母さんのビル、外階段。

彼と彼のお兄さんと。

3階を塗るお兄さん。
1階を塗る私。

突然、頭に冷たい液体。
髪に手をやると、べったりと白いペンキがかかっていました。

「鹿子、大丈夫か?」

見上げると、心配そうに見る彼と、
その側で、ニヤニヤ笑っているお兄さんがいました。

彼の家で髪を洗いました。

「なんで、、、ひどい、、、絶対わざとだよね、、、お兄さん。」
「冗談だから。」

「冗談でこんなことする?」
「気にするなって。」

「サトルが学校やめたの、私のせいだって思われてるんでしょ?」
「、、、たぶん。」

「私はやめて欲しくなかったのに、、、」
「オレが大阪行ったからな。」

「そうだよ。私はギターリストなんて、そんなのなれると思ってない!」
「お前、ひどいこと言うんだな。」

「私はこんなにサトルのことが好きなのに!ギターギターって馬鹿みたい!」
「何言われても、オレは止めないから。」

部屋に流れる、イングヴェイ・マルムスティーン。
私は泣きながら海を見つめていました。

(*・ω・)
aryomaさん、まさこさん

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