熱情と幻 4
- 2021/03/27
- 22:22
卒業式の前日、サトルの家で、
サトルの髪を切りました。
「バリカンでがっつりいって!」
初めての体験、
右に合わせれば左が、
左に合わせれば右が、、、
どんどん短くなって、
悲惨な仕上がりに。
翌日。
式が終わって、教室の後ろには保護者のみなさん。
「サトル!!!」
大きな声で怒鳴りながら、つかつかやって来たその人は、
サトルの頭を思い切り叩きました。
「あんた、こんな日になんて髪型してんのよ!」
「母ちゃん、、、」
背が高く、化粧の濃い、その人がサトルの母親でした。
サトルの家に住んでない母親。
会うのは初めてでした。
「うわ、、、これは噂以上に激しい、、、」
「鹿子が失敗したんだよ、、、」
えっ、それ言う?
「初めまして。鹿子です。あの、、、」
「、、、サトル、後で店に来なさいよ!」
母親は、私を一瞥しただけ。
その後、私は、数えるほどしか彼の母親と会うことはありませんでした。
私は大阪へ。
彼は福岡へ。
私は寮生活。
彼は1人暮らし。
家族と離れ、友達と離れ、サトルと離れ、
1人ぼっちの新生活は、ただひたすらに寂しいものでした。
夜、一台しかない電話を誰かが使っていると、
終わるまで待てず、夜道をトボトボと公衆電話を探し、
母に電話をかけました。
「寂しい。帰りたい。」
泣きじゃくる私に母の励まし。
「頑張りなさい。しっかり食べて。」
サトルへ。
「寂しい。会いたい。」
「5月の連休に来いよ。な?」
桃山台の長い坂、バスを使わず歩いて駅まで。
少しでも節約して、福岡までの交通費を作るため。
授業の後は、アルバイト。
母の負担を少しでも減らすため、
そして、福岡へ行くために。
専門学校で、寮で、
新しいたくさんの友人。
寂しい夜に、
誰かの部屋をノックして、
語り合った、恋の話、将来の話。
楽しかった。
青春そのもの、でした。
サトルと電話で話した後は、
私は必ず泣いて誰かの部屋へ。
「寂しい。サトルに会いたい。」
「鹿子、また泣いてるよ(笑)」
からかわれても、隠せないほどに募る気持ち。
人を好きになるって、こんなに切なくなるんだ。
これを4年間、、、無理かもしれない、、、
小さな頃からの夢、編集者。
そのために大阪に来ているのに、
授業中、考えることはサトルのことばかり。
友達に話すことは、サトルのことばかり。
もう、夢など霞むほどに、
恋にのめり込んで行く私を、
私自身、止めることが出来ませんでした。
もう、何が何だか分からないほどに。
ただ会いたい、と。
「あの海に帰りたい。」
御堂筋を泣きながら歩く私は、恋の従者。
(*・ω・)
まさこさん
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サトルの髪を切りました。
「バリカンでがっつりいって!」
初めての体験、
右に合わせれば左が、
左に合わせれば右が、、、
どんどん短くなって、
悲惨な仕上がりに。
翌日。
式が終わって、教室の後ろには保護者のみなさん。
「サトル!!!」
大きな声で怒鳴りながら、つかつかやって来たその人は、
サトルの頭を思い切り叩きました。
「あんた、こんな日になんて髪型してんのよ!」
「母ちゃん、、、」
背が高く、化粧の濃い、その人がサトルの母親でした。
サトルの家に住んでない母親。
会うのは初めてでした。
「うわ、、、これは噂以上に激しい、、、」
「鹿子が失敗したんだよ、、、」
えっ、それ言う?
「初めまして。鹿子です。あの、、、」
「、、、サトル、後で店に来なさいよ!」
母親は、私を一瞥しただけ。
その後、私は、数えるほどしか彼の母親と会うことはありませんでした。
私は大阪へ。
彼は福岡へ。
私は寮生活。
彼は1人暮らし。
家族と離れ、友達と離れ、サトルと離れ、
1人ぼっちの新生活は、ただひたすらに寂しいものでした。
夜、一台しかない電話を誰かが使っていると、
終わるまで待てず、夜道をトボトボと公衆電話を探し、
母に電話をかけました。
「寂しい。帰りたい。」
泣きじゃくる私に母の励まし。
「頑張りなさい。しっかり食べて。」
サトルへ。
「寂しい。会いたい。」
「5月の連休に来いよ。な?」
桃山台の長い坂、バスを使わず歩いて駅まで。
少しでも節約して、福岡までの交通費を作るため。
授業の後は、アルバイト。
母の負担を少しでも減らすため、
そして、福岡へ行くために。
専門学校で、寮で、
新しいたくさんの友人。
寂しい夜に、
誰かの部屋をノックして、
語り合った、恋の話、将来の話。
楽しかった。
青春そのもの、でした。
サトルと電話で話した後は、
私は必ず泣いて誰かの部屋へ。
「寂しい。サトルに会いたい。」
「鹿子、また泣いてるよ(笑)」
からかわれても、隠せないほどに募る気持ち。
人を好きになるって、こんなに切なくなるんだ。
これを4年間、、、無理かもしれない、、、
小さな頃からの夢、編集者。
そのために大阪に来ているのに、
授業中、考えることはサトルのことばかり。
友達に話すことは、サトルのことばかり。
もう、夢など霞むほどに、
恋にのめり込んで行く私を、
私自身、止めることが出来ませんでした。
もう、何が何だか分からないほどに。
ただ会いたい、と。
「あの海に帰りたい。」
御堂筋を泣きながら歩く私は、恋の従者。
(*・ω・)
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